トヨタセーフティセンスは2015年に導入されたトヨタ最新の安全装備
2015年までトヨタの安全装備と言えば、ミリ波レーダーを使用したプリクラッシュセーフティシステムが主流となっていました。
トヨタのプリクラッシュセーフティシステムに関しては2003年に、世界で初めて2代目ハリアーに搭載されたという経緯があります。
しかしながら、当時は警報とブレーキアシストのみで自動ブレーキの機能がなかったり、2012年に登場した新しいプリクラッシュセーフティシステムでは約15km/h〜30km/hで自動停止が可能になったものの搭載可能車種が限られていて少ないといった状況でした。
他メーカーの動向を見ると、自動ブレーキが歩行者検知にも対応したスバルのアイサイトver2が大きく普及し、他社もそれを追いかけて新しい安全装備を投入しつつある状況。
そんな他メーカーで安全装備の普及が進む中、トヨタとしても、何とか主要車種に本格的な安全装備の搭載を求められていたのは言う間でもありません。
そんな中ついに、2014年11月26日に、低速域から高速域まで衝突回避支援または被害軽減を図れる予防安全パッケージとして「トヨタセーフティセンス」を発表し、2015年から普及を目指した価格設定で導入することが発表されました。
2017年度末までにはトヨタ全車に搭載予定
そしてこのトヨタセーフティセンスは、2017年度末までにOEM車、共同開発車を除くトヨタ車全車に搭載される予定であることも発表されています。
2016年に、エスティマ、アリオン・プレミオ、マークXといった長期モデルの車種の異例のビッグマイナーチェンジが相次いだのはこのトヨタセーフティセンスの搭載が大いに関係していると思われます。
また、2017年度末までにトヨタセーフティセンスの搭載が必要不可欠となったことから、現在トヨタセーフティセンスの搭載をしていない車は、
- フルモデルチェンジ
- マイナーチェンジ
- 生産終了
この3つを2017年末までに余儀なくされることとなります。
2017年12月現在でトヨタセーフティセンスを搭載していないのは、
- アルファード・ヴェルファイア
- センチュリー
- MIRAI
- FJクルーザー
※OEM車、共同開発車除く
の車種になります。
つまり、これらの車種が2017年に大きな改良もしくは生産終了という流れになることとなります。
ちなみに・・・
2018年1月にアルファード・ヴェルファイアがマイナーチェンジを実施して第2世代トヨタセーフティセンスを搭載。
▷アルファード、ヴェルファイアのマイナーチェンジ情報はこちら
ちなみに、トヨタセーフティセンス搭載車については、以下の通りとなります。
※2017年12月19日現在
トヨタセーフティセンスCとPの違いとは?
そんなトヨタの多くの車に影響を与えるトヨタセーフティセンスですが、トヨタセーフティセンスには、「トヨタセーフティセンスC」と「トヨタセーフティセンスP」の2グレード存在します。
2014年の発表時には、
- 主にコンパクトカー向けの「トヨタセーフティ C」
- ミディアム・上級車向けの「トヨタセーフティセンス P」
というように車格に合わせたグレード分けをしていることが発表されています。
それぞれ具体的な機能を見てみると、
トヨタセーフティセンスC
レーザーレーダーと単眼カメラを採用。
◯プリクラッシュセーフティーシステム(衝突回避支援型)
レーザーレーダーと単眼カメラで先行車を検知。
先行車と衝突の恐れがある場合、警報にてお知らせ。また、衝突が不可避と判断した場合は、約10km/h〜80km/hの車速域で先行車との相対速度が約30km/h以内ならば自動ブレーキで衝突回避をサポート。
※歩行者は検知できない
◯レーンディパーチャーアラート
道路の車線を逸脱する危険がある場合にドライバーにブザーとディスプレイ表示で注意を喚起。
◯オートマチックハイビーム
先行車・対向車等のライトを認識して、ハイビームとロービームを自動で切り替えるシステム。
◯先行車発進告知機能
信号待ちなどで停車中に、前にいる車が発進した時にお知らせしてくれる機能。
トヨタセーフティセンスP
ミリ波レーダーと単眼カメラを採用。
◯プリクラッシュセーフティーシステム(歩行者検知機能付き衝突回避支援型)
自動ブレーキが対車両に加え歩行者も検知可能な所がポイント。
約10km/h〜80km/hの車速域で歩行者との相対速度が約30km/h以内ならば自動ブレーキで衝突回避をサポート。
約10km/h〜最高速の車速域で先行車との相対速度が約40km/h以内ならば自動ブレーキで衝突回避をサポート。
◯レーンディバーチャーアラート(ステアリング制御機能付)
幅約3m以上の車線を自車速度約50km/h以上での走行時に、車線逸脱の可能性がある場合、ドライバーに警報でお知らせ。
車線逸脱を回避しやすくするために、ドライバーのステアリング操作がサポートされる部分がポイント。
※一部車種ではステアリング制御機能が付いていない
◯オートマチックハイビーム
先行車・対向車等のライトを認識して、ハイビームとロービームを自動で切り替えるシステム。
◯レーダークルーズコントロール
設定した速度で定速走行ができ、また先行車をミリ波レーダーでとらえた追従走行も可能。
搭載車種によって、「全車速対応タイプ」と約50km/h~100km/hで使用可能な「ブレーキ制御付きタイプ」に分かれている。
ちなみにこのトヨタセーフティセンスPをベースとして、レクサスではほぼ同様の機能である予防安全 システム「Lexus Safety System +」が存在します。
トヨタセーフティセンスCとPの大きな違いのポイント
以上の内容から見て、特にトヨタセーフティセンスCとトヨタセーフティセンスPでの大きな違いは、
- 自動ブレーキが歩行者に対応しているかどうか
- 追従機能付きクルーズコントロール機能があるかどうか
といった所になります。
トヨタセーフティセンスCはいずれ歩行者検知対応へアップデート?
自動ブレーキが歩行者検知に対応していないトヨタセーフティセンスCですが、後々、アップデートをして歩行者検知に対応する可能性が日経新聞にて2015年7月に取りざたされています。
トヨタ自動車は、汎用型の自動ブレーキシステム「Safety Sense C」のセンサーで検知できる対象物として、歩行者を追加する検討を始めた。現在は先行車だけだが、歩行者も検知できるようにすることで、衝突回避できる対象物を段階的に増やしていく。
~中略~
一度実用化したセンサーは、自動車アセスメントの基準強化に応じて変更するのは難しい。そこで、トヨタは自動ブレーキ用のカメラのハードウエアに変更を加えることなく、ソフトウエアのアップグレードで、カメラで検知できる障害物の種類を増やしていく計画。対象となる障害物は、歩行者のほかに自転車なども検討中である。
【出典:日本経済新聞】
2016年にはマツダとダイハツが歩行者対応の自動ブレーキを導入し、また、JNCAP自動車アセスメントが「対歩行者自動ブレーキ」を安全性能評価の対象に入れるなど、歩行者対応の自動ブレーキ搭載はもはや当たり前の状況になりつつあります。
この状況から見て、いずれトヨタセーフティセンスCの自動ブレーキが歩行者検知対応するのは自然の流れと言えるのではないでしょうか。
しかしながら、2018年に第2世代トヨタセーフティセンスが登場することから、トヨタセーフティセンスCのアップデートは厳しい状況とも言えるかもしれません。
レクサスはさらに進んだ内容へ進化
レクサスの先進安全装備に関しては、これまでトヨタセーフティセンスPとほぼ同内容となる「LEXUS SAFETY SYSTEM+」が存在していました。
2017年10月に発売となる新型レクサスLSでは、「LEXUS SAFETY SYSTEM+」をさらに進化させた「LEXUS SAFETY SYSTEM+A」が搭載されることになります。
「LEXUS SAFETY SYSTEM+A」では、レーンキープアシスト機能や自動でレーンチェンジ可能な機能等が採用されています。
今後、「LEXUS SAFETY SYSTEM+A」の機能は、2018年以降にトヨタ車でも実用化させることが発表されているため、いずれ「トヨタセーフティセンスP +」みたいな形でバージョンアップすることが期待されます。
レクサスの先進システムとなる「LEXUS SAFETY SYSTEM+A」の内容に関しては、こちらの記事で詳しく解説しているので是非ご覧ください。
【追記】
「Lexus Safety System +」の第2世代版が2018年より導入されることが決定。
内容は、「LEXUS SAFETY SYSTEM+A」と同じではなく、第2世代トヨタセーフティセンスと同様と思われる。
▷Lexus Safety System+Aを解説!Lexus CoDriveで自動運転へ一歩近づいたシステム
トヨタセーフティセンスの新しい情報が入れば、追って更新します。
【関連情報】
・アルファード、ヴェルファイアがマイナーチェンジ!最新情報について