スバル 新型トライベッカ実質復活
スバルは、以前、2005年に北米にて「スバル B9トライベッカ」という大型SUVを発売していました。
このトライベッカの名前の由来は、ニューヨーク市マンハッタン南西部のトライベッカ地区から名づけられています。
レガシィと基本プラットフォームは同様のものが用いられており、エンジンには、3000cc水平対向6気筒エンジンEZ30を搭載。
そして7人乗り3列シートが採用(5人乗り2列シートの設定もあり)されていました。
その後、ヨーロッパ、オーストラリア等でも展開し、2007年にはマイナーチェンジを実施して新しいフロントマスクに加え、エンジンを3600ccへ拡大させた新型エンジンEZ36を搭載しています。
そんなトライベッカは、日本でもレガシィアウトバックを上回る上級SUVとしての導入が期待されましたが、残念ながら、2014年1月に生産終了となり幻のSUVとさえ一部で言われる存在となってしまいました。
そして今回のアセントこそが、トライベッカの後継車と言える存在なのです。
事の発端は「際立とう2020」
元々、トライベッカ後継SUVの登場が確実となったのは、2014年5月に発表された中期経営ビジョン「際立とう2020」でのことでした。
この「際立とう2020」の資料には、新商品追加の項目の2017年~2018年頃の部分に「北米 NEW SUV」の記載が。
【出典:際立とう2020】
現在、スバルのSUVは主力市場となる北米では、「アウトバック(日本名レガシィアウトバック)」、「フォレスター」、「クロストレック(日本名XV)」がラインナップされていますが、トライベッカがなくなって以来ラインナップされていない大型SUVがこの「北米 NEW SUV」に当てはまると見られていました。
アセントコンセプトの前にロサンゼルスモーターショー2016にてコンセプトカーを公開していた
アセントコンセプトの前身となるコンセプトカー「VIZIV-7 SUV CONCEPT」が公開されたのは、2016年11月18日(現地時間)に開催されているロサンゼルスモーターショーのことです。
<VIZIV-7 SUV CONCEPT>
「VIZIV-7 SUV CONCEPT」のボディサイズは全長5200×全幅2030×全高1860mm、ホイールベースが2990mm、タイヤサイズは265/55 R21。
この「VIZIV-7 SUV CONCEPT」についてスバルは以下の公式リリースを出していました。
このSUBARU VIZIV-7 SUV CONCEPTは、スバルラインアップ上最大となるボディスタイルで、将来のスバル多人数SUVを提示しています。3列シートの全座席においてゆとりある室内空間を提供するボディサイズとスバル共通のデザインフィロソフィー“DYNAMIC x SOLID”を採用し、2018年にスバルが北米市場に導入予定の3列ミッドサイズSUVのサイズ感を表現します。
【出典:スバル公式リリース】
これこそトライベッカ後継の新型の3列シートSUVと期待され、ついに2017年この「VIZIV-7 SUV CONCEPT」の市販モデルとなるアセントのコンセプトカーが登場することとなりました。
スバルアセントのライバルにはマツダCX-9とフォードエクスプローラーを想定か
実は、アセントのテストカーの撮影時に、テスカーと共に、マツダのCX-9とフォードのエクスプローラーが比較車両として映っていました。
これらの車種は共に全長5m、全幅1.9mを越えるビッグサイズの北米向けSUVであり、まさに比較車両としてはピッタリとも言える存在です。
<マツダCX-9のボディサイズ>
- 全長5065mm
- 全幅1930mm
- 全高1728mm
- ホイールベース2870mm
<フォードエクスプローラ―のボディサイズ>
- 全長 5020mm
- 全幅 2000mm
- 全高 1805mm
- ホイールベース 2860mm
ちなみに、マツダのCX-9については、2016年に10年ぶりにフルモデルチェンジされた3列シート7人乗りのSUV。
スバルとしては、アセントのライバル車種としては、新型CX-9が最も意識しているというのは間違いないと言えるでしょう。
<CX-9>
※CX-9の詳しい情報はこちらの記事にて
搭載されるエンジンについては、排気量2.5ℓで直噴4気筒のダウンサイジングターボエンジンが採用される見通しです。
スバルアセントにPHVモデルのラインナップにも期待
北米主力のSUVということを考えると、カルフォルニア州のZEV規制の対策は避けては通れません。
<ZEV規制について>
自動車メーカーが、米国カリフォルニア州で自動車を販売する場合、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)など排ガスを出さない無公害車(ZEV:Zero Emission Vehicle)を一定比率以上販売しなければならない規制のこと。現状では、ZEVのみで基準をクリアすることは難しいため、プラグインハイブリッドカー、ハイブリッドカーなど排ガスがクリーンな車も含めることが許容されている。
自動車の排ガス規制の厳しさで有名なカリフォルニア州で独自に制定されたのを皮切りに、自動車販売の市場規模が大きなニューヨーク州など複数の州にも拡大される見通しとなっている。
規制基準を達成できないメーカーは、罰金を支払うか、規制基準を達成した他のメーカーからクレジットと呼ばれる超過分のZEV排出枠を別途購入しなければならない。
なお、2017年からは、現在ZEVに許容されているエンジンと併用するハイブリッドカーが除外されるなど規制強化が予定されており、日本の自動車メーカーには厳しい状況となることが予想されている。
【出典:野村證券公式サイト】
この為、PHV(プラグインハイブリッド)モデルの追加は十分考えられます。
スバル初のPHVモデルについては、新型XVや次期フォレスターが有力候補として挙がっていますが、この新型SUVとどちらが先にスバル初のPHV搭載車になるのかも注目のしどころです。
【追記】
PHVモデルは、XVの海外仕様「クロストレック」に搭載されることになりました。
「際立とう2020」では、2017~2018年後に北米ZEV規制対応PHV投入が掲げられており、また、XVの北米モデル「 クロストレック」の ハイブリッドモデルの廃止の可能性を海外サイトがすでに報じている点等も考慮すると、この新型SUVがスバル初のPHV採用車になる可能性が高いように思います。
<クロストレック(XV)ハイブリッドの廃止に関するソース>
The Subaru Crosstrek will receive minor updates for the 2017 model year. The most notable changes will be the addition of a new Premium Special Edition variant and the discontinuation of the Crosstrek Hybrid.
【出典:carsdirect.com】
北米ではトライベッカでなし得なかった大型SUV投入の成功を今度こそはつかむ必要があります。
アセントが北米で受け入れられるのかどうか要注目です。
アセントに関する続報が入れば、追ってお伝えします。