スズキの軽トールワゴンのスペーシアとスペーシアカスタムが2017年12月14日にフルモデルチェンジを実施しました。
今回のモデルチェンジでは、新プラットフォーム採用による走行性能の向上や先進装備の拡充がポイントとなります。
2016年度上半期の販売台数ではアルトに次ぐ販売台数40,204台を記録しており、スペーシアはスズキの中でも現在売れ筋の車種でもあります。
そんなスペーシアが新型でどこが進化したのか、注目の変更点はどこなのかといった内容等を詳しくお伝えします。
新型スペーシア フルモデルチェンジで注目の変更点
新型スペーシアがフルモデルチェンジで変更された注目ポイントは次の通りとなります。
それでは詳しく見ていきましょう。
新型スペーシアの外観(エクステリア)デザイン
こちらがフルモデルチェンジした新型スペーシアの外観になります。
新型スペーシアのデザインは、「スーツケース」をモチーフに開発されています。
今回のデザインの注目ポイントは次の通りとなります。
- スーツケースのジッパーをイメージしたフロントグリル
- スーツケースのキャスターをイメージしたキャスター
- テーマは、「ワクワク、楽しさ」を感じる新しいスタイル
デザインの全体的には先代モデルからのキープコンセプトとなります。
【先代スペーシア】
新型スペーシアは、先代をよりスタイリッシュにかつ、スーツケースをイメージする等遊び心を持ったデザインが与えられたと言えます。
ボディカラーについて
新型スペーシアのボディカラーに関しては、新色として
〇ツールグリーンパールメタリック
〇チアフルピンクメタリック
の2色が加わりました。
その他、水色「オフブルーメタリック」をはじめ、モノトーン10色、2トーン4色の全14パターンが設定されています。
新型プラットフォームHEARTECT(ハーテクト)採用
今回のモデルチェンジにて新型スペーシアには、高剛性でかつ軽量のプラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」が採用されています。
防音材・遮音材を最適配置して静粛性が高められており、またサスペンションを新設計することで乗り心地が向上されています。
よりカッコよく!新型スペーシアカスタムの外観(エクステリア)
そして忘れてはならないのがスペーシアカスタムの存在。
新型スペーシアカスタムの外観デザインがこちらです。
新型スペーシアカスタムのデザインのポイントは次の通りです。
- 2色のメッキを活用した大型フロントグリル
- LEDフォグ&ヘッドランプを採用
- アンダーグリルでワイド感を強調。
- サイドアンダースポイラーやリヤバンパーを低く構えることで存在感を示す
先代スペーシアカスタムから印象がガラリと変わり、流行りのヴェルファイア風味にデザインへと進化しています。
どちらかというと先代スペーシアカスタムZに近いデザインと言えます。
【先代スペーシアカスタム】
【先代スペーシアカスタムZ】
新型スペーシアカスタムのボディカラー
新型スペーシアカスタムのボディカラーには、「ピュアホワイトパール」をはじめとする、モノトーン9色、2トーン5色の全14パターンが設定されています。
新型スペーシアの内装(インテリア)。快適でくつろぎやすい室内空間に!
新型スペーシアの内装は、より快適な空間へと進化しています。
内装デザインのポイントは次の通りです。
- 外観同様もスーツケースをモチーフにしており、それを彷彿させるカラーパネルを採用
- エアコンルーバーやドアトリムなどに赤色のアクセントカラーを採用
- 明るく広々とした雰囲気のベージュのカラーモデルも用意
- カスタムの内装はシルバー加飾等で上質感を感じさせるものとなっており、ピアノブラックやメッキ加飾がポイント
- カスタム専用でレザー調シートや本革を採用したシフトノブ、ステアリングが採用されている
各モデルのインテリアの画像がこちらになります。
【スペーシア】
【スペーシアカスタム】
室内空間は、前席の左右乗員間距離を30mm、ショルダールームを25mm、後席はヘッドクリアランスを45mm拡大されており、それによってよりリラックスのできる室内空間が実現されています。
魅力ある快適装備を紹介
新型スペーシアには数々の快適装備が搭載されています。
その中でも注目の装備を紹介します。
ポイント①パワースライドドア
スライドドアには、パワースライドドアが閉まる動作中にドアロックが予約できる「パワースライドドア予約ロック機能」、そして、任意の場所にてスライドドアを一時停止できる「パワースライドドア一時停止機能」を採用。
ちなみに低床フロア設計がされており、スライドドア開口幅を20mm広げた600mmにし、また開口高を20mm高くして1,250mmとされたことで乗り降りがしやすいように工夫されている所もポイントとなります。
ポイント②シートアレンジ
新型スペーシアはシートアレンジが豊富で、幅広い荷物を載せることが可能に。

【出典:スペーシア公式】
また、リヤシートには、ワンタッチでスライド側&荷室側どちらのリヤシートも格納と復帰ができる「ワンタッチダブルフォールディング式リヤシート」を採用。
荷室側からスライド操作ができる「左右独立リヤシートスライド」もあり。
ポイント③スリムサーキュレーター
前席と後席の温度差を解決させる送風機の「スリムサーキュレーター」がスリム化され、室内の広さを損なわないように工夫されている。
ポイント④後方視界支援ミラー
スズキ車で初となる後方視界支援ミラーをバックドア上部に搭載。これによって車両後方に見えにくい障害物を確認しやすくなります。
ポイント⑤気の利いた環境
新型スペーシアには乗車する上で役立つ装備がいくつか装備されています。
それが以下の機能となります。
・シートヒーター&リヤヒーターダクト
・前席中央のエアコン吹き出し口にエアコンルーバー採用
・プレミアムUV&IRカットガラス
・ロールサンシェード
・ワンアクションパワースライドドア
・ショッピングフック
・助手席シートアンダーボックス
先進装備が大幅パワーアップ
スペーシアは、今回のフルモデルチェンジで先進装備もパワーアップしています。
新型スペーシアの先進装備で注目ポイントは次の通りです。
- 後退時ブレーキサポートに加え、後方誤発進抑制機能、リヤパーキングセンサーを採用
- 周囲を立体的に360°確認できる「3Dビュー」を採用
- フロントガラス投影式のヘッドアップディスプレイ搭載
- スズキ車初の標識認識機能を搭載
- 先代の「デュアルカメラブレーキサポート」から「デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)」へ変更
マイルドハイブリッド搭載で燃費性能は実用重視へ
新型スペーシアでは、発進時にモーターのみで走行可能となるマイルドハイブリッドシステムが全車に搭載されています。
先代スペーシアで一番低燃費の性能を誇るNAモデルの2WD車では、JC08モードで32.0km/Lとなっていましたが、新型では33.0km/L以上に向上することが期待されていました。
しかしながら、新型スペーシアの燃費性能は最も燃費の良い「HYBRID G 2WDグレード」がJC08モードにて30.0km/Lという性能に落ち着いています。
これは近年の燃費不正問題を受けた実用性重視のためと思われます。
また、ISG(モーター機能付発電機)や大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載することで、エンジン再始動や加速時にモーターでエンジンをアシストすることや、モーターによるクリープ走行も可能となっている所がポイントです。
そして、パワートレインには、直列3気筒DOHC 0.66リッターのR06A型エンジンを採用。
新型ワゴンRに搭載したR06A型エンジンがベースとなっており、エンジンの冷却性能が強化されています。
新型スペーシアの価格について
新型スペーシア&スペーシアカスタムの販売価格は次の通りとなります。
・HYBRID G 2WD 1,333,800円
・HYBRID G 4WD 1,454,760円
・HYBRID X 2WD 1,468,800円
・HYBRID X 4WD 1,589,760円
・HYBRID GS 2WD 1,576,800円
・HYBRID GS 4WD 1,697,760円
・HYBRID XS 2WD 1,690,200円
・HYBRID XS 4WD 1,811,160円
・HYBRID XSターボ 2WD 1,787,400円
・HYBRID XSターボ 4WD 1,908,360円
新型スペーシアが次のマイナーチェンジでライバル車に勝つには?
【N-BOXに勝つには大きな差別化と男性ユーザー層獲得が必須か】
今の軽自動車界にて、燃費性能向上と軽量化を進めるだけではライバルを倒すことは困難です。
なぜならば、これまでもスペーシアは、N-BOXとタントよりも車重の軽量化や低燃費といった部分ですでに上回っているからです。
その点、ノーマルモデルとカスタムモデルで大幅にデザインの差別化を行い、かつ、先進装備と快適装備を充実させた新型スペーシア&スペーシアカスタムは、順当な進化と言えるのではないでしょうか。
ただ、新型N-BOXは、スペーシアにはない先進装備を備えている点も事実ですし、2018年には次期タントが登場する見通しです。
新型スペーシアが今後のマイナーチェンジでライバル車に勝つためには、
「デュアルブレーキサポート2といったような新安全快適装備を投入し、全車速クルーズコントロールやレーンキープアシストといった一部の普通車にしか採用されていない自動運転技術を搭載」といったような大きな改良も必要なのではないでしょうか。
是非とも次のマイナーチェンジでの実現を期待したい所です。
新型スペーシアは、新型ワゴンRと共にホンダ・ダイハツをどこまで攻められるのか
2017年2月には、同じスズキのワゴンRがフルモデルチェンジを行いました。
この新型ワゴンRも新世代プラットフォーム採用やSエネチャージ改良による燃費性能改善がされる見込みで、こちらはダイハツのムーブと競い合うだけでなく、かつては圧倒的な強さを誇っていた軽自動車市場で全盛期の頃を目指して巻き返しを図ります。
そして、今回の新型スペーシアでは、打倒N-BOX・タントが目指されます。
2018年以降、スズキは新型ワゴンRと新型スペーシアという新型モデルでホンダとダイハツが優位な現状をどこまで打破できるのか要注目です。
ホンダのN-BOXも2017年9月1日にフルモデルチェンジを行ったので、さらなる差をつけられることのないようスズキの手腕が大きく問われることとなりそうです。