スズキの新型ソリオにストロングハイブリッドモデル(フルハイブリッドモデル)が追加されることが発表されました。
そのソリオストロングハイブリッドの発売日については2016年11月29日となります。
2015年に4代目へとフルモデルチェンジをした現行型ソリオには、マイルドハイブリッドモデルがラインナップされていますが、今回は本格的なストロングハイブリッドシステムを搭載させての登場となります。
同じく11月には、トヨタがソリオ対抗のルーミーを発売させますが、ソリオもストロングハイブリッドモデルで迎え撃つこととなります。
今回は、新型ソリオのストロングハイブリッドモデルの最新情報をお話します。
ソリオは元々ワゴンRシリーズだった
せっかくなので、少しソリオの歴史を振り返って見ましょう。
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現在、コンパクトトールワゴンとして絶大な人気を誇るソリオですが、元々はワゴンRの派生車として誕生しました。
1997年2月にデビューした実質初代ソリオとなる車は「ワゴンRワイド」という名称で発売されました。
<初代ソリオとなるワゴンRワイド>
このワゴンRワイドについては、1993年にデビューした軽トールワゴンの初代ワゴンRのパーツを使いながらも、軽ではなくコンパクトカー用に新たに設計されたプラットフォームが使用されました。
そしてソリオの名称が登場したのは2代目からとなります。
2代目ソリオに関しては、名称が改良のたびに変更されていて、
- 1999年のモデルチェンジ直後は「ワゴンR+(プラス)」
- 2000年の一部改良時に「ワゴンRソリオ」へ改名
- 2005年の改良時に「ソリオ」へ改名
といった過程経ています。
<初めて単独でソリオとなったモデル>
このソリオという名前の由来は、「玉座、王様」を意味するスペイン語からとったとスズキ公式ページに紹介されています。
スズキを代表する車へと成長した3代目ソリオ
ソリオがスーパーハイトワゴンとしての絶大な人気のきっかけを本格的に作ったのは3代目ソリオからと言えます。
<3代目ソリオ>
3代目ソリオは、2011年に先代から約12年ぶりのフルモデルチェンジをして発売したわけですが、何といっても後席両側スライドドアの採用が幼い子供を持つファミリー層ユーザーの獲得に大きく貢献しました。
さらに専用のデザインを採用し、若者をターゲットにしたグレードの「ソリオ バンディット(BANDIT)」をのちに追加したのもこの世代からです。
その結果、ソリオは若いユーザー層からファミリーユーザー層まで幅広い層の人気を集め、スズキにとって小型乗用車の中では「スイフト」と並ぶ2本柱にまで成長させることに成功しました。
<ソリオバンディット>
ソリオは、ライバルとしてミニバンやコンパクトハッチバック車も射程内に入り、それらの車からの乗り換えも期待できる「ミニバンとコンパクトカーの良い所どり」をした部分が活かされたのはこの3代目からとなります。
4代目新型ソリオでマイルドハイブリッド採用からストロングハイブリッドまでカバー
そんな人気を集めた3代目ソリオが、デビューから4年半後にフルモデルチェンジをし、現行型となる4代目新型ソリオが誕生しました。
<4代目ソリオ>
この4代目新型ソリオは、スズキ新開発のプラットフォーム採用や、最新の安全装備「デュアルカメラブレーキサポート」がオプション設定されるなど注目する部分は多いですが、何といっても一番の注目所は、パワートレインの刷新です。
そこで採用されたのがマイルドハイブリッド。
ソリオのCMでもマイルドハイブリッドというキーワードが使われており、「ハイブリッドは分かるけれども、マイルドハイブリッドって何だ?」と思った方も多い筈。
ちなみにソリオの公式サイトには、以下の説明がされています。
<マイルドハイブリッド>
減速エネルギーを利用して発電し、加速時にはモーターでエンジンをアシスト。
発電効率に優れたISG(モーター機能付発電機)により、減速時のエネルギーを利用して発電し、アイドリングストップ車専用鉛バッテリーと専用リチウムイオンバッテリーに充電。加速時には、その電力を活かしてモーターでエンジンをアシストすることで、さらなる燃費の向上を実現するハイブリッドシステムです。
【出典:ソリオ公式サイト】
一言でいえば、加速時にモーターでエンジンをアシストする機能で、その結果低燃費が実現できているという内容になります。
実は「マイルドハイブリッド」というのは、言葉のあやで、マイルドハイブリッドは、すでにワゴンRなどの車種で使用されているS-エネチャージと同じ内容です。
実際、ワゴンRの公式サイトでの「S-エネチャージ」に関する説明文を見るとそれが分かります。
<S-エネチャージ>
減速時のエネルギーを利用してISG(モーター機能付発電機)で発電し、アイドリングストップ車専用鉛バッテリーとS-エネチャージ車専用リチウムイオンバッテリーに充電。燃料を多く必要とする加速時にモーターでエンジンをアシストすることで、さらなる燃費の向上を実現しています。また、アイドリングストップ後は、ISGのスターターモーター機能により、ベルトを介してエンジンを再始動するので、ギヤの噛み込み音がなく、静かでスムーズな再始動を可能にしています。
【出典:ワゴンR公式サイト】
なぜ、同じシステムを別の名前にして分けているのかというとこれはマーケティング上の戦略となります。
「新型ソリオS-エネチャージ誕生!」と聞くのと、Sエネチャージの内容を把握していないと、中々「ハイブリッド的なシステム」だとか「低燃費の車」というイメージに結びつきません。
けれども、「新型ソリオマイルドハイブリッド誕生」と聞くのであれば、ソリオにハイブリッドモデルが出たんだと気づくことができます。
今や販売を大きく左右する「ハイブリッド」をソリオに活かすにはこの方法がベストだったというわけです。
であれば、マイルドとかつけないで、「ソリオハイブリッド」として出せばいいのでは?とも思えますが、それにも訳があるのです。
それは、本格的なソリオのストロングハイブリッドモデルが後に出ることが決まっていたからです。
マイルドハイブリッドはあくまでもモーターがエンジンを補助するシステムとなっていますが、ストロングハイブリッドモデルでは、モーターのみでのEV走行が可能となっています。
言ってみれば、ソリオマイルドハイブリッドモデルは、ソリオストロングハイブリッドモデルが出るまでのつなぎ、もしくは簡易版という位置づけとも言えます。
そんなソリオストロングハイブリッドモデルがついに2016年11月29日に発売することになりました。
ソリオストロングハイブリッドついにデビュー!燃費性能は32.0km/Lへ
ソリオのストロングハイブリッドモデルについては、2015年に開催された東京モーターショー2015で参考出品されていました。
【出典:スズキ公式サイト】
東京モーターショー2015で初公開された「ソリオハイブリッド」についてはモーターによるEV走行を可能にするハイブリッドシステム搭載が大きなアピールポイントとされていました。
さらにこの「ソリオハイブリッド」については、詳しい内容についてスズキは以下のように発表しています。
動力伝達に優れた5AGSとの組み合わせで燃費を向上し、モーターアシストに加えEV走行も可能にするスズキ独自のハイブリッドシステムを搭載。さらにコンパクトなボディーからは想像できない広々とした室内空間を実現しました。車内で前席と後席の間を移動できるセンターウォークスルーを採用するなど、毎日に役立つたくさんの “うれしい” をカタチにしました。
全長×全幅×全高: 3,710×1,625×1,745mm
パワーユニット: 1,242cm3直列4気筒デュアルジェット エンジン、
ハイブリッドシステム
駆動方式: 2WD
トランスミッション: 5AGS【出典:スズキ公式サイト】
このフルハイブリッドシステムを搭載した新型ソリオの発売時期は、当初2015年度内と見られていましたが、かなり先送りとなり、ようやく2016年11月29日に発表&発売に至ることとなりました。
実際、フルハイブリッド(ストロングハイブリッド)を搭載したソリオハイブリッドに関する画像はこちらになります。
ソリオストロングハイブリッドの内容については以下の通りとなります。
グレード名について
- ソリオは、HYBRIS SZとHYBRID SX
- ソリオバンディットはHYBRID SV
ソリオストロングハイブリッドの価格
- HYBRID SX 1,917,000円
- HYBRID SZ 2,062,800円
- バンディットHYBRID SV 2,046,600円
ソリオストロングハイブリッドのその他詳細内容
ソリオストロングハイブリッドのその他詳細は以下の通りとなります。
〇K12C型デュアルジェットエンジンにインパネシフト5速AGS+MGU(駆動用モーター PB05A型)を組み合わせたスズキ独自のパラレル方式ハイブリッドシステムを採用
マイルドハイブリッドモデルで採用されているCVTではなく、軽量コンパクトで、伝達効率に優れたトランスミッションのAGS(オートギヤシフト)を採用。
駆動用モーターのスペックは、最高出力10kW/最大トルク30Nm。
〇駆動方式は2WD(4WDはなし)
〇100V高電圧リチウムイオンバッテリーとインバーターを内蔵したパワーパックを荷室のサブトランクスペースに収めている
これによって、広い室内空間スペースはこれまでと変わらずに確保可能に。
〇走行モードは「エコモード」と「標準モード」の2つ
・エコモードでは、駆動力の発生を抑えたゆるやかな加速と、EV走行の頻度を高めることで通常通りの運転であってもエコドライブをサポートする仕組みとなっています。
・標準モードでは、レスポンス良く駆動力が発生し、加速感のあるキビキビとした走りが楽しめるようになっています。
また、エコモードに関しては、停車からの発進時、モーターによるクリープ走行が可能となっており、停車、発進を繰り返すことの多い渋滞や駐車場であっても、燃料消費を抑え、EV走行のまま静かに移動できるというメリットがあります。
〇モーターアシストに加え、MGUのみでの走行「EV走行」が可能
EV走行については、エコモード、標準モード共に約60km/h以下での一定速走行時に可能とされていますが、道路状況によっては60km/h以上でも走行できる場合があるとのことです。
バッテリーが満充電されている時については、時間にして最大約3分間、距離にして最大2km程度のEV走行が可能となっています。
〇燃費性能はJC08モードで32.0km/L
これは、現時点でのコンパクトハイトワゴンNo.1の低燃費となり、全車エコカー減税の免税対象車となります。
ソリオストロングハイブリッド独自のデザインについて
ソリオストロングハイブリッドのデザインですが、所々、専用のパーツが用いられています。
- スケルトンタイプ&ブルーメッキのフロントグリル
(上がノーマルソリオ、下がバンディット)
- LEDストップランプ&ブルークリアタイプのリヤコンビネーションランプ
- 左右フェンダーとバックドアに専用エンブレム
ソリオストロングハイブリッドのインテリアに関しては、以下の内容になります。
- インパネのアッパーガーニッシュをシルバー塗装からブルーメタリック塗装へチェンジ
(上がノーマルソリオ、下がバンディット)
- 青色基調の専用デザインのメーターに、MGUの作動状態を表示するフルハイブリッド専用メーター
トヨタ「ルーミー・タンク」というソリオ最大のライバル登場・・・
【画像はトヨタ ルーミー】
11月9日に、ソリオ対抗となるコンパクトトールワゴンとして、トヨタブランドからは「ルーミ・タンク」が、ダイハツブランドからは「トール」、スバルブランドからは「ジャスティ」という新型コンパクトトールワゴンが発売されます。
▷トヨタ「ルーミー・タンク」、ダイハツ「トール」の詳細情報はこちら
スズキにとっては、このトヨタ・ダイハツ・スバルの連合軍が発売するソリオ対抗の新型車は脅威的な存在となりますが、この新型トールワゴンにはハイブリッドモデルがラインナップされていません。
それゆえ、今回、ソリオにストロングハイブリッドモデルをラインナップすることは、この新型車への対抗措置ともなります。
<スズキは、ソリオストロングハイブリッド登場でルーミーの勢いを止めたい所>
安全装備についても、ソリオは歩行者検知対応の自動ブレーキシステムが採用された「デュアルカメラブレーキサポート」を装備できるのに対し、トヨタ・ダイハツ・スバルの新型車に搭載される安全装備の「スマートアシスト2」の自動ブレーキは歩行者に対応していないといった優位点もあります。
しかしながら、「トヨタブランド」という強さや、トヨタ・ダイハツ・スバルが共同で販売するという販売網を考えると、ソリオは安泰とは言えません。
果たして、ソリオのストロングハイブリッドモデルの発売が、吉と出るのかどうかに要注目です。
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