レクサスLSの歴史を振り返る~懐かしきセルシオ時代~
日本のラグジュアリーカーを象徴するレクサスLS。
日本では、かつてはセルシオとして親しまれてきた存在でもあります。
そんな歴史あるレクサスLSについてこれまでの軌跡を詳しく見ていきましょう。
初代レクサスLS(セルシオ) F10型【期間1989年 – 1994年】
今から30年近く前となる1989年に、アメリカにてトヨタの高級車ブランドとして「レクサス」が立ち上がりました。
その1989年のレクサスブランド立ち上げと共に最上級のフラグシップカーとして発売されたのがF10型となる初代レクサスLSになります。
<XF10型レクサスLS>
そして同じ1989年には、日本でセルシオ名で発売されました。
日本ではレクサスを展開してなかったからこそ、LSという名前で出せずセルシオ名で登場したわけです。
セルシオ(CELSIOR)の名称の由来は、ラテン語で「至上・最高」を意味する「CELSUS(セルサス)」から作った造語となります。
セルシオことレクサスLSは、世界で日本車の技術力の高さを知らしめた革命的な車として注目を集めました。
- 圧倒的な静粛性
- 高品質
- 精密度の高いエンジン
といった、日本らしい「おもてなしの心」がこもった車が多くの海外ユーザーの心を惹きつけました。
ドイツ車とは異なった魅力を持つ、レクサスLSの発売は、あまりにもインパクトが大きく、世界での日本車に対するイメージを変えるきっかけに。
レクサスLSのデビューは、ドイツのプレミアムメーカーであるメルセデスベンツ Sクラス、BMW 7シリーズという欧州勢のプレミアムサルーンに対抗できる日本車が初めて誕生した歴史的な瞬間でした。
大衆メーカーだったトヨタブランドではなく、別の「レクサス」という高級ブランドを新たに展開するビジネスモデルは衝撃であり、実際、VW(フォルクスワーゲン)等、他の大衆メーカーにとって、高級市場参入のきっかけとなっています。
実は、セルシオ誕生は見送られる予定だった!?
実は、レクサスLSは、当初日本では導入が見送られる見通しでした。
それは、日本ではクラウンの存在があったからです。
当時のクラウンは、今よりも高級車として存在感のありましたし、日本とアメリカの嗜好性の違いもあって、LS導入は見送られるはずでした。
ですが、ある車の存在がセルシオ誕生に大きな影響を与えました。
それは、日産のシーマです。
<シーマ>
1988年1月に発売され、その後シーマ現象と呼ばれるくらい、大ヒットしていた日産の高級車シーマ。
当時の日本は、景気の良いバブル時代で、高級車が勢いよく売れる時代背景もあって、「セドリック」「グロリア」よりも上級仕様だったシーマがバカ売れしました。
トヨタは、クラウンではシーマに対抗することができないということもあって、ついにレクサスLSが日本導入されることとなります。
- 日本ではレクサスブランドを展開していないため、名称はレクサスLSではなく、セルシオとして誕生。
- セルシオは、センチュリーとクラウンの間に位置し、実質ドライバーズカーとしてフラグシップの存在に。
また、初代セルシオのCMは、トヨタの新時代を感じさせれる優雅な内容で、いかにも高級車って感じがヒシヒシと伝わってくるものとなっていました。
2代目レクサスLS(セルシオ)F20型【期間1994年 – 2000年】
2代目レクサスLS(セルシオ)は、初代デビューから5年後の1994年に誕生しました。
キープコンセプトのデザインながらも、
- 取り回しをよくするためにプラットフォームの改良でオーバーハングを切り詰める
- 車両重量が初代よりも100kg以上という大幅な軽量化を実現
- フロント部分にアルミ製対向4ポッドキャリパーを装備し、ブレーキ性能を向上
といった中身の改良を充実化。
そして、ホイールベースを拡大させ、快適な後席居住性を確保させた所もポイントとなります。
また、初代と見分けがつかないと言われたデザインも1997年のマイナーチェンジでフロントデザイン大きく改良させました。
<マイナーチェンジ後のデザイン>
2代目セルシオは、初代程のインパクトは有りませんが、この頃は、日本はバブル崩壊した後の時期といこともあって落ち着ちたイメージに。
コストダウンされたといったイメージが付きがちですが、先代の必要な部分を正統進化させた完成系とも言えます。
CMに関しても落ち着いた印象のある内容となっています。
この頃は、日本はバブル崩壊した後の時期で、先代とは状況が違い、コストダウンされたといったイメージが付きがちですが、2代目セルシオは、先代の必要な部分を正統進化させた完成系とも言えます。
3代目レクサスLS(セルシオ) F30型【2000年 – 2006年】
2000年にフルモデルチェンジした3代目レクサスLS(セルシオ)は、これまでのイメージを大きく刷新させました。
- 旧型までは、角ばったデザインだったところ、丸みを帯びたデザインに変更。
- ヨーロッパのプレミアムサルーンを意識し、エンジンを4000ccから4300㏄のV8へと拡大
新世代のセルシオとも言える内容であり、その他、最も注目となるポイントは、一番のポイントは、飛躍的に進化した高級感のある内装です。
この3代目セルシオの内装は、高級ホテルや飛行機のファーストクラスのシートを参考にされ、美しい木目パネル等、まるで高級家具を彷彿させる出来となっていました。
セルシオの歴史に幕
日本国内で2005年にレクサスブランドが展開されることが決まり、セルシオの名称は、次期モデルから日本でもレクサスLSとして展開されることとなりました。
3代目セルシオの販売終了は、2006年5月に行われ、日本独自の存在として17年間発売されてきたセルシオの歴史に幕を閉じることとなりました。
これによって、トヨタブランドの中では、実質クラウンマジェスタがセルシオの地位を引き継ぐこととなりました。
4代目レクサスLS F40型【期間2006年 – 2017年】
2006年には、日本でもついに「レクサスLS460」としてレクサスブランドの名称で販売されることになったF40型。
このモデルから、LS専用となった新型プラットフォームが採用されています。
もちろん、旧モデルよりも大規模な進化を遂げており、その注目ポイントは以下の通りです。
- 新世代となるV型8気筒直噴4,608ccの1UR-FSE型VVT-iEエンジンの搭載
- アルミニウム合金製のマルチリンク式サスペンションの採用
- ロングホイールモデルのLS460Lのラインアップ
- 量産乗用車世界初のシーケンシャルシフト付き8速AT(8 Super ECT)を搭載
メジャーチェンジというFMC並みの改良
そして、2013年に、メジャーチェンジと呼ばれる大幅改良が行われ、レクサスのシンボルデザインとなったスピンドルグリルを採用し、今風のデザインに。
このメジャーチェンジをフルモデルチェンジしたと思った方は多かったのではないでしょうか。
それほどまでに内外装のデザインが変更されました。
デザインだけでなく、主要構成部品約6,000点の中で約半数が変更されているので、実質FMC並みの改良であり、それもあって、ビッグマイナーチェンジではなく、メジャーチェンジという異例の改良名称になっています。
デザインの賛否両論はあるものの、スピンドルグリルが採用されただけでも、一気に世代が変わった印象を受けます。
スピンドルグリルは、今や一目でレクサスと分かるデザインとなりつつあります。
一時期は、廃止も噂されたものの、次期LSを含めて今後もレクサスのアイデンティとして採用されていく見通しです。
5代目レクサスLS【期間2017年~】
そしてレクサスLSは、日本では2017年10月に5代目へと世代交代し、新たな時代を築き始めることとなります。